INTERVIEW

インタビュー

「やってやろう」をつなげていく
代表取締役社長
前田 義晃
2024年6月、株式会社NTTドコモで初めて、自社グループの生え抜き社員以外からの社長が誕生しました。リクルート出身の前田義晃代表取締役社長は、自身の転職体験から「やってやろう」と挑戦する気概が連鎖し、つながっていく組織づくりを掲げます。前田社長が描く、新たなNTTドコモグループの姿とは。そして、自身のようなキャリア採用社員へ期待することとは。
キャリア採用社員から社長に
NTTドコモに入ったのは、リクルート時代の先輩に誘われたのがきっかけです。ちょうど携帯電話向けのインターネットサービス「iモード」が始まったタイミングで「めちゃくちゃ面白いから来いよ」と言われました。
もう25年近く前、世の中全体で転職自体が今ほど多くなかったときのことですが、実は私、ドコモでのキャリアのスタートは雇用期間に定めのある「契約社員」で挑戦したんです。
周囲からはいろんなことを言われましたよ。リクルートは当時も外に出る方が多かったですが、そんなリクルート出身者からも「正社員じゃないのはまずくない?」と言われるほどでした。 不安がなかったと言えばうそになります。でも実際は、それで困ることなど何もありませんでした。私がドコモで経験したことは、何千万人というお客さまに対して、価値を提供できるというダイナミズムそのものです。
日本中にあるインフラ基盤、それを支える仲間、そして日々拡大する事業領域。それらをアセット(資産)として、巨大なフィールドで社会にインパクトを与えるビジネスができる。そんな会社は日本にいくつもありません。私のようなキャリア採用出身の人間が社長に就くこと自体も、チャンスの多さを表していると思います。
ブランドスローガンを刷新
社長に就任して、このほどブランドスローガンを新しくしました。それが「つなごう。驚きを。幸せを。」です。
当社には通信会社、携帯電話会社というイメージがあるので、「つなごう」にはもちろん通信的な意味合いがあります。しかしこのスローガンに込めた意味はそれだけではありません。通信がつながるというのは手段であって、目的は、社会や暮らしに対して価値貢献し、人々を幸せにすることです。
今となっては古くさく感じられるかもしれませんが、当時のiモードには「携帯電話でそんなことができるのか」という驚きがありました。それが今やスマホになりゲームも音楽も動画もあらゆることができるデバイスになりました。これってものすごいことですし、その一つ一つに人を引きつける驚きがあったと思います。当社はこれを、追求する存在でありたいのです。
技術の進化は速く、また業界やサービスの垣根もどんどんなくなっています。
今、通信規格としては「5G」が普及しつつありますが、もう次世代の「6G」の研究開発が進んでいます。サービス面でも、通信技術を使った決済や動画などのコンテンツ、ショッピング、さまざまなデータを活用したマーケティング領域などとの連携・融合が進んでいます。
社会に驚きや幸せを提供するためには、当社はこうした領域をリードし続ける存在でなくてはなりません。そのためには、それぞれの領域で専門スキルを培った人材の力がどうしても必要です。社内の育成だけでは、十分なスピードを出すのが難しい場合もあります。
実はNTTドコモグループのキャリア採用はすでに年間500人を超えていて、すでに多くの人材に選んでもらっています。しかし、まったく十分とはいえません。優秀な人材であればあるほど、他の企業との争奪戦になるわけですが、その競争に勝ち、もっと多くの方に当社を選んでもらわなければならないと思っています。
組織をつなぐ
求めているのは、組織のやろうとしていることだけでなく、組織の垣根を越え課題定義にまで至る「当事者意識」、一緒に働く仲間やパートナーに対する「リスペクト」、そして困難な課題に対して「チャレンジし続けること」、こうした姿勢を持ち合わせる人材です。これがあれば、職場が変わっても絶対に活躍できると私は思います。
自分の経験ですが、入社してまもなくiモードをやっているときにこんなことがありました。
自分のチームは新規事業として、チャレンジ意欲が高くどんどん新しいことを進めていたのですが、あるサービスのテストで想定外のトラブルが起きました。原因は通信基地局を管理する部署との連携不足といいますか、基地局のエンジニアからすれば「そんなの当たり前だろう」という技術的なことを、iモードのわれわれが理解していなかったことによるものでした。
そこから、「どうすれば実現できるのか」ということを相談したのですが、基地局のチームからすれば寝耳に水の話ですから「なんでそんな、通常業務と違うことをしなくてはいけないんだ」となります。それに対して誠心誠意「こんなことが可能になる」というビジョンを語って、「協力してください」「一緒にやりましょう」と働きかけました。
個人的な偏見かもしれませんが、こだわりの強い技術者の方であればあるほど、いったん「分かった、やってやろう」となったら同じ目的に向かって必死にやってくれる印象があります。私は社長として、この「やってやろう」をもっともっと増やしていきたいのです。
バックグラウンドの異なる人が何かを一緒にしようというとき、摩擦が起きるのは避けられないと思います。むしろ、外からの客観的な目線があるからこそ、内側にいては気づけない視座が得られ、イノベーションが生まれるのです。
多様な領域をもち、そこに適合するスキルをもった人材に来てもらうだけではいけません。それぞれの領域が壁を作ってしまっては、せっかくのわれわれの大きなフィールドが生かされません。そうではなく、組織の中でもっともっと人がつながり、互いに「やってやろう」という環境が生まれて初めて新しいチャンスが生まれてくるのだと思います。
2022年、当社はNTTコミュニケーションズ株式会社、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社というNTTグループの企業を子会社としました。また株式会社NTTドコモ・グローバルという新しい会社も設立しています。
グループ全体での事業領域の拡大に伴い、それぞれの分野で、より専門性の高い方を求めています。そしてその専門性を生かしながら、複数の領域を「つなぐ」仕事ができるのがドコモグループならではだと考えています。会社組織としては別になりますが、グループとしてこれがバラバラに動くようではいけません。
例えば、当社の注力領域である金融事業では、専門的な知識やスキル・ノウハウなどをもっている方に参加してもらわないと、事業を伸ばすことが難しいと考えています。金融会社で専門性を培った方がドコモに来ていただければ、金融という枠を超えて、ドコモの幅広いアセットを「つなぐ」ことでオリジナリティーある展開を作っていくことも可能です。
金融領域以外にもマーケティングソリューション事業やグローバル事業、これらの事業を支えるセキュリティー領域があり、エンジニアなど、高い専門性や業界での経験を積まれている人材を欲しています。
そして、多様なバックグラウンドを生かしつつ、いかに同じ方向を向いて力を結集できるかが、経営者としての課題だろうと思います。
チャレンジするならやり切る
チャレンジがなければ、会社は成長しません。それどころか疲弊して衰退していってしまいます。会社の存続のためにチャレンジすることは絶対に必要で、業界や社会をリードしていける会社というのは、「チャレンジが当たり前にある会社」なのだと思います。
「チャレンジ」と言うときに、私が大事にしていることがあります。それは「せっかく挑戦するならやり切ること」です。
挑戦に困難はつきものです。なかなか結果がついてこなかったり、想定外のことが起きたりするのは日常茶飯事です。しかしだからと言って「やり切った」と言える手前で撤退してしまったら、「何がいけなかったのか」ということすら、本当の意味では分かりません。中途半端なチャレンジには、意味がないのです。
最終的にめざすものが「社会への価値貢献」としたときに、目の前のチャレンジをどこまでやったら貢献できたと言えるのか。あるいは、その価値を最大化したと言えるのか。そのために必要なことをぜひやり切ってほしいのです。
現実には、「これ以上は難しい」という経営判断もあり得ます。しかしそうしたところまで、ぜひ挑戦し切ってほしい。決して簡単なことではありません。しかし、そうやってチャレンジをする人が少しでも増えることが、これからのドコモには絶対に必要だと考えています。
※所属部署・記事内容はインタビュー時のものです。
出典:ビズリーチ掲載記事(2024年11月11日公開)より転載
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