PROJECT
STORY

05

職人技をXR技術で支援

鉄工業界の深刻な課題を解決する
先端技術による作業支援ソリューション

OUTLINE

ドコモではXR(※)技術を活用したサービスの企画開発を手がける新会社・株式会社複合現実製作所を設立し、技術を持った職人の高齢化や人材不足という問題に直面している鉄工業界をサポートしています。MR(複合現実)デバイスを利用したサービスでは、鉄骨に3DCGの図面を重ねて見ることができます。これにより溶接の技術レベルに関わらず、製造や検査にかかる時間を大幅に短縮できるなど、鉄工業界の後継者問題・技術継承・人手不足に一役買っています。

※ XR(エックスアール)…VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)を使って、三次元空間に新しい現実を生み出す先端技術の総称。

PROJECT MEMBER

私が紹介します

  • 株式会社複合現実製作所(イノベーション統括部より出向)

    YAMASAKI TAKEO

    山﨑 健生

01 ドコモの提供価値と意義​

技術者の高齢化・人手不足に悩む鉄工業界をICTで支援する。

鉄工業界は、技術者の高齢化や人手不足といった課題を抱えており、ICT(情報通信技術)を導入した業務の高度化や効率化が求められています。ドコモではXR技術を活用したサービスの企画開発を手がける新会社・複合現実製作所を設立。建築鉄骨の製造現場で使用できる「L'OCZHIT(ロクジット)」という作業支援ソリューションを提供しています。L'OCZHITはグラス型のMRデバイスを装着すると、鉄骨に3DCGの図面が重なって見え、高度な立体構造物の溶接作業が大幅に短縮できるようになるというXR技術を使ったサービスです。
まだ経験の浅い職人の製品検査や図面読み取り能力の向上が見込めるだけではなく、熟練の技術者でも1時間近く要していた溶接作業が15分程度にまで短縮できるなど、業務の効率化に寄与しています。また、大量に鉄骨を溶接する際に発生していたヒューマンエラーの低減にもつながると期待されています。

02 ドコモのチャレンジ​

ビジネスアイディアから子会社設立。社内制度で、社員が起業家になる。

目の前にある鉄骨の映像と3DCGの図面を正確に重ねるノウハウや技術は、鉄工所で職人の方々とディスカッションをし、プロトタイプ(※)を作りながら、現場で精度を高めていったものです。またXR技術はデータを低遅延で処理できる5G通信のユースケースとして期待されていますが、ドコモの5G通信環境や、長年の5Gコアネットワークの研究成果が活かされています。
さらに、L'OCZHITではドコモグループにおける新規事業の創出をめざした社内ベンチャー制度が活用されている点が大きな特徴です。「39works」というビジネス検証を行う新規事業創出プログラムに応募し、社外パートナーとプロジェクトを組み検証を進めました。そのビジネスアイディアから社内ベンチャー制度を利用した複合現実製作所という子会社を設立することで、起業家としてチャレンジしています。
※ プロトタイプ…完成品ではなく、検証のために簡易的な試作機を作ること。

03 得られたこと・成果​

ドコモの強みを活用しながら、ベンチャーのスピード感で動いていく。

L'OCZHITは一般の中小企業をターゲットにすることで、広いXRの普及をめざしています。そのため開発費を抑えるために開発やデザイン指向によるビジネスデザインを39worksや社内ベンチャー制度といった仕組みを通して実践していきました。
もともといつかは起業したいと思っていたのですが、ドコモに所属しながら、一般のベンチャー企業のようなスピードで素早くビジネスの立ち上げ、同時にドコモが持っている信頼性やブランド力、通信といった強みを活かしながら事業展開できる点は大きなアドバンテージになっています。とくに知的財産や法律に関するサポート、ドコモ基準の高い情報セキュリティ環境で開発ができる点も、通常の起業では得られない魅力です。

04 これからの展望

XRという先進技術を使い、日本の職人技を復権させたい。

今後は、建築鉄骨業で提供しているXR技術をそれ以外の製造業の現場にも普及させたいと思っています。かつて、日本の製造業は世界トップクラスの品質を誇っていました。ですが、技術を持つ熟練者の方々のリタイアや、後継者・人材不足によって、その地位が揺らぎつつあります。XRという先進技術を使って、習得に時間がかかっていた職人の熟練技を視覚的・直感的にサポートすることで、日本の職人技を復権させたいと思っています。
また、L'OCZHIT を5Gに適応させながら、一般コンシューマー向けのサービスも作っていきたいと考えています。そのほか、39worksでビジネスを検証し、社内ベンチャー制度で子会社を立ち上げた経験を活かして、会社組織をマネジメントする手伝いもできればと思っています。