PROJECT
STORY

01

京都府スマートシティ

京都府の地域課題を解決する前代未聞のスマートシティ実現に挑む

OUTLINE

新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、民間企業では急速なデジタル化が進んできています。自治体や行政でも同様にあらゆる側面においてデジタル化が急務となるなか、全国に先駆けてさまざまなデータを活用したまちづくりを推進してきたのが京都府でした。京都府は産学官が集うコンソーシアムを立ち上げ、デジタル技術を活用した行政サービスの実装に向けたチャレンジを進めるなか、スマートシティ化に欠かせないデータ利活用基盤の技術を提供する企業としてNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)に声がかかりました。NTT Comでは、社内において重要なテーマと位置づけられるスマートシティの実践の場として京都府とともにプロジェクトを推進し、2022年には国の「デジタル田園都市国家構想(※)交付金」を獲得。全国で他に例を見ない広範囲のスマートシティ化の実現に取り組んでいます。

※ デジタル田園都市国家構想…2021年に岸田内閣の下で「デジタルによる地域活性化を進め、さらには地方から国全体へボトムアップの成長を実現する」ことを目的に始動された構想。

PROJECT MEMBER

私たちが紹介します

  • NTTコミュニケーションズ 関西支社
    ソリューションサービス部門 第一グループ

    Kanzaki Daisuke

    神嵜 大輔

  • NTTコミュニケーションズ 関西支社
    ソリューションサービス部門 第一グループ

    Ito Daiki

    伊藤 大樹

  • NTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部
    スマートワールドビジネス部 スマートシティ推進室

    Yokoyama Shodai

    横山 将大

01 ドコモの提供価値と意義

スマートシティ実現に向け、自社の技術提供だけでなくプロマネ業務まで担う。

デジタル田園都市国家構想という取り組みが全国的に広がりはじめていますが、現状その多くは市区町村単位の取り組みです。京都府が掲げる構想は、京都府全域で活用できるスマートシティのプラットフォームを学研都市であるけいはんな地区に構築し、そこから府内の各地域へ展開していくという壮大なものです。ところが自治体にはテクノロジーの知見がほとんどなかったため、官民が集うコンソーシアムが立ち上がりました。そのなかでNTT Comはスマートシティ化に欠かせない「データを安心安全に取得し流通させるデータ利活用基盤」の技術を提供する企業として参画し、およそ2年にわたってNTT Comでも初となる2つの実証実験を進めてきました。京都府をフィールドに新たな技術を実装する試行錯誤のなかでテクノロジーの知見だけでなく、地域課題に対する理解を深めるなど少しずつ京都府との信頼関係を築いていきました。特に重要だったのは、独自の技術を持つ企業/大学等が集う産学官連携のコンソーシアムにおけるアドバイザリーボードとしての活動です。実証実験を通じてデータ利活用基盤を全社初でフィールドへ実装し、データ利活用のユースケース検討から企業間連携の役割調整まで、コンソーシアム全体のプロジェクトマネジメントをNTT Comが担い信頼関係を強固にしていきました。結果として2022年に京都府が国に「デジタル田園都市国家構想交付金」を申請する際に、取り組みや地域の課題を熟知しているNTT Comと一緒にと、パートナーとして京都府からご指名いただくことができました。

02 ドコモのチャレンジ

京都府による未知の挑戦に伴走し、強固なパートナーシップを築いた。

全国の自治体と多数の協定を締結しているドコモグループにおいても、今回のように自治体と課題を共有しながらあるべき未来を描き、実装へ向けて伴走していくスタイルでの関係構築は初めてだったと思います。また、「未来のまちづくり」という短期的な収益化が見えにくいプロジェクトを、社内の理解を得て進めていくこと自体が険しい道のりでした。そこで、京都府とともにスマートシティ化に取り組むプロセスにおいて、NTT Comにおいて初となる2つの実証実験を行い、それを新聞等の対外メディアや社内HPにて発信することによって周囲にこのプロジェクトの存在意義を認めさせていきました。1つは「データ利活用基盤」を実践の場へ展開する実証実験で、もう1つは「水害リスクのシミュレーションと効果的な避難誘導の支援」を自治体へ展開する実証実験です。
自治体としてもノウハウがないなかで「伴走型」という関係構築の方法を見出し、具体的な活動の積み重ねによって地域課題へのコミットを高めると同時に、社内の理解も得ることでプロジェクトを継続していく、このように手探りで続けた取り組みの結果として、多くの自治体ではパートナーを入札で選ぶなか、京都府はNTT Comを指名で選んでくださったことは、ひとつの成功事例と言えると思っています。

03 得られたこと・成果

スマートシティ実現に貢献できる全国に先駆けた実績とノウハウ。

京都府と官民コンソーシアムが一体となって「デジタル田園都市国家構想交付金」を獲得し、データ利活用基盤の構築に取り組むいま、私たちはデータ利活用基盤プロジェクトの旗振り役を担っています。国に採択された実績は、今後全国で進んでいくスマートシティ化の領域においてドコモグループの認知度を高めてくれると思います。また国による自治体のデジタル化への投資は当面継続される方針であるため、全国に先駆けてノウハウを蓄積できたことは、今後の案件獲得に向けても大きな一歩となりました。
一方で、世の中には、交付金の獲得と執行に注力した結果、本来利用すべき住民が関与しない形でシステム開発やサービス開発が進んでしまい、「作ったのはよいが使われない、維持できない」ものができあがり、税金の無駄使いに終わってしまったという実例が多く存在します。さらに交付金は1年分の予算であるため、2年目以降も事業継続していくために、参加する事業者が収益を得られる仕組みを構築することも急務となります。
今回のプロジェクトでNTT Comが担うのはデータ利活用基盤ですが、重要なのはその基盤の上にどんな魅力的なコンテンツを載せて住民にどんな価値を提供できるかどうかということです。AI運行バスやヘルスケアをはじめとした各種アプリケーション、メタバースなどユーザーとの接点となるコンテンツを持つドコモグループの一員となったいま、グループでしっかりと連携し、そのアセットを最大限活用することで「使わされるのではなく、使いたくなる行政サービス」を実現していきたいと考えています。

04 これからの展望

日本全国のスマートシティ化に貢献していく。

京都府とのリレーションを構築し、具体的なサービスも提供する事業者も決まり、これからいかに実装していくかというフェーズに入っています。ここからのチームで主役を担うのが「スマートシティをやりたい」と言って入社してきた2年目(2022年現在)の横山です。さまざまな技術を持った事業者がいるプロジェクト全体を舵取りし、2023年の3月には第一弾としてスマートウォッチやデジタルサイネージを活用した先進的な行政サービスをリリースします。その後の年間を通じたさまざまな施策の実装はもちろん、2年目以降の収益化に向けてデータ利活用基盤の枠を超えてサービス全体のあり方を模索しています。
しかし、横山にとって京都府のプロジェクトは大きな夢のはじまりに過ぎません。スマートシティの最終的なゴールは、日本全国で多種多様なデータを安心安全に取得・流通させ、最適に利活用していくことにあります。まずは京都府を中心に大阪府と奈良県が交差する「けいはんな地区」でスマートシティのあるべき未来を示し、その実績を持ってその他全国の都道府県へと広げていく地盤を固めることをめざしています。

※掲載内容は2022年12月時点のものになります
※十分な感染対策を行い、撮影時のみマスクを外しています

OTHER STORY

PROJECT STORY INDEX